ground

カップに滑り込んだ一枚を見ながら、全く僕は違うことを考えていた。
白に侵蝕していく色と、表裏一体を飛ばして僕はその辺を漂っている。
考えていることはほとんどが邪で、反吐で汚くなっていた。
どれくらい時間が過ぎたか、随分鬱々としていたはずなのに、針はあまり動いていない。
枯れた声で呼んでみた。
昔は振り返ってくれたその顔が、今は生気のない一枚に納まっている。

足を伸ばして、確認する。
相変わらず生きている。
息をしてるかしていないかで生きているかどうかを考えるのは、もうとっくに飽きてしまった。
僕は今、確かに足を伸ばしてリモコンを探している。
コントロールできるのは、人の死を迂闊に知ってしまわないようにテレビを切るだけだ。
例えば君の名前があったとしても。
僕はまた、足を伸ばして確かめている。

心臓の位置はよくわかっていない。
指先に鼓動を感じたり、お腹が熱くなることだってある。
イメージを赤くして、僕は考える。
いつか君は、定めてしまう。

日常を行き来して、自由に君を奪いたかった。
君が見た桜の花や、小さな鳥を僕だって見たいと思っていた。

君のイメージが沸かない。
今どうしているのかも惹かれない。
そう言えば、君の声を忘れてしまった。

今度は手を伸ばして確認する。
ボタンを見つけて、ワイドショーから逃げる。
君から逃げる。
僕は生きていて、君はどうしてるかをもう知ろうとしない。

ただ、時間が過ぎていく。